レ・ネイ

青春下日記

忘れたくない

 

               加藤弘幸の書記

 

 「えぇでは明日の小テストは今日やったとこ全部で~。今日はここまで。」私は声に今日一番のハリを出した。しかし毎日毎日授業を遮るチャイムの音にはかないそうもない。教師になりたての頃は、チャイムという笛の合図が終わるまでに少しでも生徒の力になれればと思っていた。それゆえ授業終わりのチャイムを心待ちにしているような勉強嫌いな生徒からは、あからさまに毛嫌いされることもあった。がしかし教師という生き方を選んだ以上負けじとその喜ばれるチャイムに対抗した。鳥と生徒が作り出す聞き慣れた人生の雑音の中で、自分にもそんな日々あったのだなぁと、今は冷ややかで羞恥的な気持ちである。

 

 教師生活を始めて17年、もうじき40にもなるがここで得たものといえば生徒からの嫌悪感とそれに付随した保護者からの不評、そして学校職員からの腫れ物を見るような、おっといけない、私には妻と子がいる。まあ、、あまり家にも居場所はないが。

 

ここまでを打って、私は思った。こんな自らの哀れな現状を何の心の揺らぎも無く画面に叩けるのは、自分に諦めているのだろうか、それとも諦めているよう自分自身に振る舞うことで現状転換の機会を潰し、納得しようとしているのだろうか。まだ自分に期待を?そんなんで?その歳で?

 

 

 光りを得るにはもったいなく、絶望を感じるには、、贅沢な人生である。

 

               

 

               西宮加菜恵の手記

 

 誰が見ているのか分からないが、おそらくこのブログのプロフィールにある「現役女子高生」という部分につられたのだろう。文頭からこんな物言いで申し訳ないが、皆さんが期待されているような所謂なJKのキラキラ日記、ましてや風と共に滑らかに宙を舞うスカートなどは出てこない。まあこのご時世、どこの誰とも分からない女性の靴下に興奮するような男もいるのだから、男の嗜好はよく分からん。そんな奴がクラスにいるのだからネットというさらに広い世界には想像もつかない”女性の敵”がいるのだろう。まあ、前置きはこのくらいにしておこう。

 

 このブログは私が、私自らを痛めつけるためのものである。それなら早くとカッターを持てだって?分かってないね、いや。そういう選択もあるのかもしれない。でも私は、恐らくその類の自傷的意欲を持ち合わせていない。それに寧ろ、大いなる悲しみを持って自分をすり潰すことで生を噛みしめている人を羨んでるわ。死ぬまでそこには行けないだろうという確信を得ながら。

 

 別に私は誰かに虐められているわけでも、何か特別な事情を抱えているわけでもない。普通の家族がいて普通の高校生をやっている。違うんだ。私は文字として消化することを望んでる。打たないと、他人に見られないと、耐えられない。でも耐えられなくなったとしても何かが起きるとは思えない。机の引き出しに閉まってある日記と同じよ。赤裸々に自分の気持ちを書いているつもりでも、「いつか誰かに見られたら・・・」というささやかな根底の下で成り立っている。その微かな。微かな客観性に。そこに、私の青春への生き残りと人生への一手を賭ける。

 

まあ、、。

 

とどのつまりは賭けるものもなど何もない。だからこその、無名の強さがそこにある。

 

 

 光を得るにはもったいなく、絶望するには贅沢ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

後書き)これ続編いっぱい書く予定だった(?)いや予定である(?)ただアレがあれなので。(๑>؂•̀๑)テヘペロ